ライオンの道は修羅の道
南アフリカ、クルーガー国立公園に隣接したサビ・サンドはプライベートな野生保護区で、高級なロッジが立ち並び、車で自然観察ツアーが行われているエリア。そこで、2000~2010年過ぎあたりまで観察されたライオンの群れの一つが「マポホ」(Mapogo、日本語表記はマポゴとなっていることが多いですが、マポホと発音されています)で、多くのビデオがユーチューブにアップされています。
どのビデオも日本語字幕がないのが残念。
日本では、これほどライオンのオスの群れに焦点を当てたものがないので興味深く見たんですが、知らないことが多くて衝撃を受けました。これ、ヤク〇の世界だな。それとも「北斗の拳」や「マッドマックス」的な世紀末の争いというべきか。
マポホ連合は外部から来た1頭(リーダー)と兄弟の5頭、計6頭からなるオスの群れで、サビサンドの生態系が壊されるのではないかと危惧されるほどの殺戮を繰り返し、この地区を制圧しました。
多くの子供、それらを守るメスを含む殺したライオンの数は1年で100頭を超え、地域のハイエナの60%は彼らに殺されました。群れのボスライオンが変わったと言っても、メスライオンにとっては可愛い我が子に変わりはなく、オスに抵抗する姿は命がけです。考えてみれば、子どもを殺された後は、その子を殺したオスの子供を産むわけで、その心中は想像を絶するものがあります。
狩りはメスの仕事でオスは狩りをしないと思ってましたが、キリンやバッファロー、カバ等の大物のハンティングの能力が高いのもマポホの特色。考えてみれば、ある程度の年齢になるとオスは群れを追い出され、自分で糧を得なければならないので当然です。大物のハンティング能力が高かったことがマポホの成功の原因とも言われています。
最も衝撃的だったのがオスの縄張り争い。縄張り争いなんてかわいいもんじゃない。殺し合いとかリンチとか、そういった類のもの。
この動画では、Kinky Tail と Mr T、マポホの中でも狂暴な二頭が、敵対するMajingilane(マジンガラーニ)5頭のうち1頭を殺した後、残り4頭に反撃されて、Kinky Tailが命を落とすところまでが収録されています。
この二つの戦いに代表されるオス同士の争いでは、よく複数に囲まれて、下半身を攻撃されて立ち上がれない状況になります。背骨を折られ、下半身の一部を食われたりする。最後のとどめを刺さない状態で放置され、数日で死を迎えるのがまた切ない。
食うか食われるか、強さがすべての世界。こんな世界に生まれなくてよかった。
ほんの数百年前までは、人間も似たようなものだったのかな?
え、今も?